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2008.04.18

ぬかみそつながり

 漬物屋だからといって、いつも漬物のことばかり考えているわけではないけれど、毎日たくさんの時間をともに過ごしているのだから、どうしても目に留まることが多くなる。
 例えば、夜中に本棚の奥から見つけて開いた文庫本、幸田文著「雀の手帖」。ぐいぐいと読みすすみ「ぬかみそ」のページでハタと留まる。漬物屋になる前には、さらっと読み流してしまったのだろう、こんなことが書いてあったとは憶えていない。

 「ぬかみそ桶へ手は入れるが、おつとめに行くのにこの臭気のついた手はなさけない。かといってゴム手袋、菜箸やおしゃもじ、どれもみんな一時的に役立てるだけで、あと仕末や漬けるときには適当でない。なにかよい方法がないだろうか」といった質問に対して、著者は「手より具合のいいものはない」と考えながら「あとで何とか考えれば返事ができるかもしれないという余地」が残る。そして「こういう質問は忘れられない」といって文章は締めくくられる。

 ぬか漬けは好きだけどにおいが気になる、冬に冷たいぬかどこに手を入れるのは億劫。こちらもそんな質問や感想を、ことあるごとに受けて来た身。先日も取材の際にやはり同じような質問をされ「手袋や木ベラなどはどうでしょうか…」と答えたもののしっくりせず、何かもう少しぴったりする手立てはないかしらと母娘で話し合った。

「ぬかみそのことを話しかけられて返辞ができなかった」ということから書き始めた作家。
「手につくぬかどこのにおい」を、数年来の宿題のように考えているわたし。
世事に長け、はるか遠くにいた幸田文という人が、ぬかみそを通じてすこしだけ身近になったように感じる。

suzume-

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