2006.02.27
おせんべい

週末より富士見堂さんのお煎餅を、毎日少しづつ頂いている。
先ず封を開けると、なんとも香ばしい。
上品な包装は、素材の風味を生かしシンプルでありながら豊かな味にふさわしいもの。
ひとつひとつ思いを込めて焼き上げたぬくもりが、美味しさとなり伝わってくる。
後味はさらりとしていて、そしてまた手がのびる。
同封して頂いた栞には「ごはんの味のする煎餅」との見出し。
素材に対するこだわりやその丁寧な製造工程を知り、1枚の旨みもことさら増す。
食後に少しと思って開けた「しらす揚げ」「えび揚げ」は、あっという間に残り少なくなった。
見るからに贅沢な、黒胡麻をたっぷり練りこみ黒ろ黒ろした「胡麻沢山」
本格的な堅焼き「牡丹」もおいしい。
米ぬかを原材料として、お米の恩恵に預かっている漬物屋としても
また、味を意匠化させたそのパッケージに
なにより完成度の高いお煎餅に感化される。
2006.02.24
舞浜から馬車道へ

(その甘さにびっくりした「ベーターキャロット」)
曇天のなか、早々に日常の仕事を終え夕方より千葉県舞浜へ。
遅れて駆けつけた会場では、豊かな土地資源を生かし意識の高い人々によって生産された
「千葉県の産物」が多数紹介され
新たな切り口としての「料理法」「活用法」「商品化」などが提案されていた。
食卓に並べられた素材・料理・商品の数々を手にしながら
素材の美味しさに思わず立ち止まり、奇抜な組み合わせの料理に驚き
商品化にあたっての話などを聞いていると、あっという間に数時間が経ってしまう。
マルイ漬物の原材料野菜は、国産の特別栽培農産物・有機栽培農産物を限定して使用している。
「地産地消」に徹してみたい気持ちはあるものの、土壌や環境の問題から
「東京で採れた野菜だけを漬ける」とはいかず、結果日本中の農家さんのお世話になっている。
なかでも千葉県産の原材料が占める割合はとても大きい。
通年を通してきゅうりの一部を、そして時期によって大根、人参、白菜、かぶ、きゃべつ等など。
安心で美味しい野菜が、近くの千葉県から新鮮な状態で届くのはとてもありがたい。
舞浜の会場を後にし、誘われて「食と現代美術―美食同源 BankART Market」
の開催されている横浜馬車道駅へ。
旧第一銀行の趣きある会場内で、美術作品が並べられ、各国の屋台も出展され
ライブスペースもあり、オープニングパーティーは大盛況、多言語が飛び交っていた。
祭りのような時間に居て、「食べ物のハレとケ」という言葉が浮かんだ。
りさパパさん、エリさんをはじめ、当日は多くの方にお世話になりましてありがとうございました。
またご一緒できること楽しみにしております。
2006.02.20
梅観月
羊羹を切るには勢いが必要。
竹皮包の大棹羊羹ならばなお一層、その堂々とした形とずしりとして冷え冷えとした重さ。
「お菓子を切り分ける」といった趣よりも、「覚悟を持って包丁を入れる」といった具合。
しかも目の前には、虎屋の羊羹「夜の梅」
その切り口によっては「小豆がほの白く浮かびあがり、まるで闇の中で梅が香り立つ様」とされる。
少し大きめに切り分けるべきか、それとも薄めに揃えてふた切れにしようか、などと思いあぐねる。
花より団子、しかし、梅を愛でながら羊羹を頂けるのであれば、一工夫したくなる。
虎屋のお菓子には梅にまつわる銘も多い。
羊羹・「夜の梅」・「紅梅の橋」、棹物・「雪紅梅」、最中・「梅々香」、生菓子・「木花文庫」・・・
歴史ある和菓子屋さんの、四季を大切にしてきた想いが伝わる奥ゆかしい銘々。
「夜の梅」といえば、鈴木春信の木版画にも同名の逸品がある。
数年来、その噂を聞きながらも実物を観る事が叶わず、画集で我慢していたが
あるときふらりと出かけた山陰の美術館で、偶然目にすることができ狂喜した。
優美な女性がひとり、灯りを片手に佇み、匂やかに浮かび上がる梅の花。
春信の特徴である古典的でたおやかな女性美と
きらきらと光る闇の中、型押しと空刷り技法により立体的に浮かびまさに梅明かり。
(背景の墨には雲母が刷り込まれていたのか、それとも照明の角度だったのだろうか)
お新香も本来、季節を漬けて楽しんだもの。
保存食として或いは栄養価としての面だけでなく、四季に疎い現代だからこそ
旬を美味しく頂きたい。
「大根漬」が「すずしろ漬」と名前変われば、一瞬季節に想いをはせるだろうか。
漬物名にも再考の余地がありそうです。
竹皮包の大棹羊羹ならばなお一層、その堂々とした形とずしりとして冷え冷えとした重さ。
「お菓子を切り分ける」といった趣よりも、「覚悟を持って包丁を入れる」といった具合。
しかも目の前には、虎屋の羊羹「夜の梅」
その切り口によっては「小豆がほの白く浮かびあがり、まるで闇の中で梅が香り立つ様」とされる。
少し大きめに切り分けるべきか、それとも薄めに揃えてふた切れにしようか、などと思いあぐねる。
花より団子、しかし、梅を愛でながら羊羹を頂けるのであれば、一工夫したくなる。
虎屋のお菓子には梅にまつわる銘も多い。
羊羹・「夜の梅」・「紅梅の橋」、棹物・「雪紅梅」、最中・「梅々香」、生菓子・「木花文庫」・・・
歴史ある和菓子屋さんの、四季を大切にしてきた想いが伝わる奥ゆかしい銘々。
「夜の梅」といえば、鈴木春信の木版画にも同名の逸品がある。
数年来、その噂を聞きながらも実物を観る事が叶わず、画集で我慢していたが
あるときふらりと出かけた山陰の美術館で、偶然目にすることができ狂喜した。
優美な女性がひとり、灯りを片手に佇み、匂やかに浮かび上がる梅の花。
春信の特徴である古典的でたおやかな女性美と
きらきらと光る闇の中、型押しと空刷り技法により立体的に浮かびまさに梅明かり。
(背景の墨には雲母が刷り込まれていたのか、それとも照明の角度だったのだろうか)
お新香も本来、季節を漬けて楽しんだもの。
保存食として或いは栄養価としての面だけでなく、四季に疎い現代だからこそ
旬を美味しく頂きたい。
「大根漬」が「すずしろ漬」と名前変われば、一瞬季節に想いをはせるだろうか。
漬物名にも再考の余地がありそうです。
2006.02.15
メアリー・バーク・コレクション

年が明けた頃から、街中でよく見かけていたポスター。
曾我蕭白の石橋図を配し、余白部分に日の丸を思わせる朱を置き
ニューヨーク・バーク・コレクション展 2006/1/24〜3/5
と白抜き文字で記載され、そのすっきりとした色遣いと配置に
気がつけば何度も目が留まり、とても気になっていた。
先日、上野公園に友人と向かった。
週末にしては予想以上の混雑もなく、比較的ゆったりとした会場。
縄文土器に始まり、埴輪、弥生土器、白鳳時代を経て平安時代の天部形立像を見る頃には
第一展示室数点にして、この香り高いコレクションにすっかり魅入られてしまっていた。
山水図がこのように愉しいものだとは知らずにいたことに気づき
今更ながら、屏風絵が3次元のものであることを実感した。
展示品ひとつひとつに惹き付けられ、引き寄せられ、説明文を読みそしてもう一度眺め
観始めてから3時間半、充足感と心地よい疲労が残った。
帰りがけ、コレクションのひとつである伊藤若冲の「月下白梅図」を
装丁にあしらった図録を購入する。(上図写真)
伊藤若冲は京都の青物問屋に生まれ、40歳で引退し画人として生きた人。
圧倒的な描写力で、微に入り細に入り、むせかえるような生命の力を
画面で表現したものも少なくない。
青物問屋の主人として日々生活する中でこのような視点は養われたのだろうか。
画家だけではなく、生活のなかで、仕事をしていくなかで、時には虫の眼で時には鳥の眼で
ものごとを写生していくことは必要なのかもしれない
図録をめくりながらそんなことを考えている。
2006.02.13
たくあん 本日解禁

昨年末に漬け込んだ、埼玉県産有機栽培の干し大根が
歳を越し、50日ほどの熟成期間を経てよい具合の「たくあん」となりました。
年末の恒例行事となった年に一度の漬け込み作業。
日毎に重石の様子を見、七草粥にはスズシロを食べながら今年のたくあんの出来を思い
三寒四温のこの時期に、歯ざわりのよい旨みもぎっしりと詰まったものが漬けあがりました!
ぬかを丁寧に洗って適当な大きさに切りバリバリと食べるのがやはり一番。
でも、折角なので酢飯をつくり、たくあんを細めに切り揃え、白胡麻を振って海苔で巻き
「たくあん巻」でもつくりましょう。
程よい甘味の酢飯、塩気の効いた沢庵、そして薫りのよい白すり胡麻
ぬか漬胡瓜もシソで巻き「お新香巻」2種類の出来上がり…
(と想像力をふくらまし、空腹のこの時間ちょっと遊んでみました)
たくあんを広めたとされる沢庵和尚、「たくあん巻」も食べたのかしら?
2006.02.06
百番勝負

きっかけは昨年の春、梅の便りもちらほらと聞きはじめた頃、一本の電話から。
「取材」と言われても半信半疑、掲載される雑誌名を告げられて一層首をかしげたものの
約束当日に静かな存在感を放って現れたひとりの男性。
てっきり、物書きさんやカメラマンの方数名でいらっしゃる、と勘違いしていたので
取材慣れなどしていない小さな漬物屋は、少し驚きながらも
ぽつりぽつりと質問に答えていく。
的確な質問の後、数点写真を撮られてから荷物をまとめられ、無駄のない数十分。
「ありがとうございました」とお礼を申し上げた後に残ったのは
何ともいえない清々しさだった。
店舗もなく、家族で細々と営んでいる慌しさを慮る細やかな気遣いを
節々から窺い知ることができた。
そして後日、ビッグコミックオリジナルに掲載された文面を拝見し
取り留め無い話を、丁寧にきちんと紹介して下さっていることに感謝しつつ
取材時のすっきりと爽やかなひとときを思い出した。
「超こだわりの店 百番勝負」 伊丹由宇 著 文春文庫
本日、文庫本にまとめられたものが一冊届きました。
「ちょい長い後書き」を読み、そのお人柄に接し、改めて取材して頂いた時間をなつかしく想い出しました。
たくさんの素敵なお店と一緒にご紹介頂いております。
本屋に寄ったら是非御覧下さいね。
2006.02.03
林檎

夕方、山形県左沢産の林檎がたくさん届きました。
箱を受け取る前から、甘くゆたかな薫りが鼻腔をくすぐっていました。
若夫婦が、無農薬無化学肥料栽培で土づくりを続けている土壌から生まれた王林とふじ。
今年は寒波の影響で、甘さが熟して行く前に突然の寒さが襲い、少し青臭さが残った
とのことですが、林檎好きにはこの青臭さも野性味に感じられます。
果実が柔らかく、まろやかな甘味の王林。
しゃきしゃきと歯ざわりがよく、固く実がしまり甘酸っぱいふじ。
飽きのこない美味しさで、皮も剥かずにいくらでも食べられそうです。
林檎があるというだけで、そのまわりの空気感まで不思議とさわやかになります。
数年前、根津美術館の帰りに立ち寄った店で、よく磨かれたガラス戸を開けると
ふんわりとしたやさしい香りに包まれました。
春を先どりする洋服と並んで、さりげなく王琳が器に数個盛られていました。
目にも楽しく肌触りも良い洋服に、嗅覚までも捕らわれて
何も買わずにその場を立ち去ることはできませんでした。
「1日1個の林檎は病気知らず」、毎朝美味しく頂きたいと思います。
2006.02.01
ものがたり

ときに篠つく雨、2月のはじまり。
仕事の合間のひととき、気分を入れ替えるために一杯の紅茶を。
マカイバリ茶園オーガニックダージリンティー/セカンドフラッシュ・ヴィンテージ(マスカテル)
今日は雨音はするものの電話は少なく、外の用事も早めに終わったので
いつも戸棚の奥でひっそりと眠っているものを集めてみる。
インドネシア土産のテーブルセンターを敷き
インドで丁寧に作られた茶帽子をティーポットに被せて
イギリス土産のアンティークカップに注いでみる。
どれも物語のある頂きものなのに、大切に仕舞っておくとついつい億劫になり
段々と使わなくなってしまう。もったいない!
昨夜、新宿樽一さんにて
マカイバリ茶園について、そして
オーサワジャパンさんのマクロビオティックの話を改めて聴く機会があり
語るべき詞を持つ食品はしあわせ、と感じ入る。
マルイ漬物の商品も
お皿に盛った漬物から「おいしいね」という笑顔が生まれるような
お手入れして頂いているぬかどこから、ひとつの会話が始まるような
そんな小さな物語のきっかけでありますように。
「醗酵食品」は時間をかけて産み出されるもの。
「逃げる2月」に声をかけ、「去る三月」も仲間にし
実りある時間を味方につけて、まろやかな熟成をうながしていきたいと思います。
樽一さん、いつも美味しい時間とご縁を頂きましてありがとうございます。
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