2006.03.16

お濃茶

茶道の心得はありませんが、にもかかわらず、読み返すたびに一杯のお濃茶を
ありありと目の前に思い浮かべる小説があります。
読み上げるのに体力が要ることはわかっていても、読み始めてしまい
本を開くと、筋を知っているのに引き込まれて最後まで一気に読み切り
読後は、壮大な物語の世界から抜け出すのにしばらく時間がかかる。
ほろ苦くずしりと重い、なのに絵巻物のように格調高い。

 やがてはじめられた宗二の点前は、いつものごとくみじん巧みがない。浅い清らかな川床を、
水がたださらさらと流れ去るに似た風情で、それでいて、水がなんらの味もないようでいっさいの
味を含んでいるような、いいようもないうまい茶をたてる。ややこぶりな高麗茶碗に、半分たらず
ふっくり盛りあがっているのを、幻庵は世にもありがたいもののようにとりあげ、しずかに啜った。
 野上弥生子著「秀吉と利休」

宗二と幻庵の、今生の別れになるやもしれぬ茶室での一幕
みなぎる緊張とは対称に、筆致はよどみなく滑り込んでいきます。

利休は秀吉の茶頭でもあり、境の魚問屋の主人でもあり
茶事に限らず食べ物の記載も全編を通じて多く、
「新蕗の砂糖漬」や「塩づけの桜がひと粒浮いた素湯」なども登場します。
数百年前の世でも、人々が変わらずに口にしたであろうもの。
「季節をめでる」といったこころがここにも現れています。

夕方からしずかに降り始めた雨が本降りに
満開だった梅も、残念ながら散ってしまうかな。

2006.02.01

ものがたり

tea

ときに篠つく雨、2月のはじまり。
仕事の合間のひととき、気分を入れ替えるために一杯の紅茶を。
マカイバリ茶園オーガニックダージリンティー/セカンドフラッシュ・ヴィンテージ(マスカテル)  

今日は雨音はするものの電話は少なく、外の用事も早めに終わったので
いつも戸棚の奥でひっそりと眠っているものを集めてみる。
インドネシア土産のテーブルセンターを敷き
インドで丁寧に作られた茶帽子をティーポットに被せて
イギリス土産のアンティークカップに注いでみる。
どれも物語のある頂きものなのに、大切に仕舞っておくとついつい億劫になり
段々と使わなくなってしまう。もったいない!

昨夜、新宿樽一さんにて
マカイバリ茶園について、そして
オーサワジャパンさんのマクロビオティックの話を改めて聴く機会があり
語るべき詞を持つ食品はしあわせ、と感じ入る。

マルイ漬物の商品も
お皿に盛った漬物から「おいしいね」という笑顔が生まれるような
お手入れして頂いているぬかどこから、ひとつの会話が始まるような
そんな小さな物語のきっかけでありますように。

「醗酵食品」は時間をかけて産み出されるもの。
「逃げる2月」に声をかけ、「去る三月」も仲間にし
実りある時間を味方につけて、まろやかな熟成をうながしていきたいと思います。

樽一さん、いつも美味しい時間とご縁を頂きましてありがとうございます。







2005.10.17

朝の一杯

涼しさを通り越して随分と冷えてくる。
寒くなると、熱い煎茶が朝の習慣になる。
たっぷりと入れた湯飲みを両手で包むように、少しづつ飲んでいくと、半分眠ったままの身体が、指先から、喉もとから、温められて動き始める。

仕事に取り掛かる前に、目を通すブログがいくつかある。
茂木健一郎氏のブログは、朝の一杯と同じように、始まりのスイッチを押してくれる貴重なもの。
「言葉の贈り物」がちりばめられていて、勇気が出てくる。
「同時代を生きること」ができて嬉しい。







2005.10.09

日帰りで

小雨降る日曜日、日帰りで軽井沢に行ってきました。
朝の軽井沢高原文庫の武満徹展から始まって、すっかり日が落ちた後の、丸山珈琲での一杯まで。
計画性も無く新幹線に飛び乗ったのに、落ち合った友人一家に連れられて「軽井沢の一日」を満喫してきました。

東京に帰る途中、友人は傘を忘れたことに気付き、そんな話を聞きながら、私も新幹線にしっかりと傘を忘れてきました。。。





2005.07.14

「お熱いのがお好き」

暑い夏こそ熱い紅茶を。

お湯を沸かし、ポットを温めて、そして茶葉の開くひととき。
慌しいときこそ、ゆったりと、とっておきの紅茶で。

本日は、マカイバリ茶園の ダージリン有機紅茶 2005年夏摘み
ヴィンテージ(マスカテル)。口にすると、喉を伝って身体全体に行き渡り、温められて、裡から調和させてくれる、そんな素晴らしい紅茶です。http://www.makaibari.co.jp/


Some like it hot
Some like it cold
Some like it in the pot
Nine days old
-Nursery Rhymes-